美とグロテスクは紙一重。チョーヒカル『SUPER FLASH GIRLS』
皆さま、こんにちは小暮です。6月です。
さて今回はチョーヒカル著『SUPER FLASH GIRLS』についてご紹介します。ボディペイントの作品集です。
話題のチョーヒカルさん。
若手女性アーティストでいらっしゃいます。まだ大学を卒業されたばかりなのでしょうか。二十代前半のお若い方です。
テレビ番組でお見かけしたのが最初で、きゃっきゃと明るくペイントしていた姿が印象に残っています。
可愛い女性ですが作風はややグロテスク。「承認欲求のなせる業」であるボディペイントによって「ショックを与えたい」という思いがあるのだとか。
これは好きな感性だ……!
という予感があり、作品集を手に取った次第です。
『SUPER FLASH GIRLS』を読んで。
思ったとおり好みでした。
顔や首もとに痛々しい縫合痕のある女性(しかもぬいぐるみを抱えている)。
顔や体に内部の機械構造が露出している女性。
背中から蝶が飛び立ち下半身が暗闇に融けてゆく女性。
ひび割れ崩れ落ちた顔半分から宇宙が覗いている女性。
レントゲン写真のように胸部に肋骨が透けている男性。
太ってお腹のボタンが開いてしまった男性。
グロくて少し切なくて時にクスリと笑えて美しい。グロイのに透明感、清潔感があるのが魅力的です。写真も明るく、不気味さを意識したものではありません。女性的な或る種の猟奇趣味に無機質なクリーンさが感じられるのが彼女の個性という気がします。一部にメカや鉱物をモチーフとして選んでいるからというだけではなく、例えば、縫合痕が痛々しくともモデルさんの表情がキョトンとしていてエグくはならないなど、作品にする上でのバランス感覚が良いなと感じます。
美とグロテスク。
たとえば、積もった真っ白な雪の上に紅い椿の花びらが散っていたら美しい。
では、積もった真っ白な雪の上に紅い血が散っていたらどうか。
花びらではなく血だったら引く人もいるかもしれません。けれども純白と紅。やはり美しいのでは? 但しこれはそこにある痛みを想像しない場合です。単純に絵としてみるグロテスクには美が感じられると思うのです。
チョーさんの作品はちょいグロだと思いました。美しさ、面白さのほうが優っています。
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