エドガー・アラン・ポー『邪鬼』『お前が犯人だ』『スフィンクス』
皆さま、こんにちは。小暮です。
今日はポー作品『邪鬼』『お前が犯人だ』『スフィンクス』です。
*ネタバレ要素を含みます。ご注意ください*
『邪鬼』
タイトルの邪鬼はおそらく天邪鬼に近い意味だと思われます。
あるいは迅速に遂行すべき任務があるとしよう。
遅れたら取り返しがつかない。まさに人生の一大事、寸刻を争う、と叱咤の声が聞こえるようだ。
……中略……何が何でも本日中に、という仕事なのだけれども、やはり明日に伸ばしてしまう。なぜだ。答えはない。ひねくれていると言うしかない。(本文より)
と、前半部分は天邪鬼な気質について、懇々と説いています。
何度も引き合いに出される骨相学は、19世紀にはやった学問で、
20世紀には否定されています。
この前置きがかなり長く、途中まで小説ではなく、コラムかと思うほどです。
しかし終盤になって急転。
天邪鬼により、言ってはいけないことを口にして、破滅する主人公。
あとちょっとで完全犯罪だったのに……。
完全犯罪をやり遂げる人は、栄達しそうな気がします。
その前に、やってはいけませんけれども。
『お前が犯人だ』
ポー独自の”チャールズ論”が語られています。
チャールズという名の人物に、いろいろと思うところがあったのでしょうか。
それはともかく、
別人に濡れ衣を着せて、まんまとやり遂せようとした真犯人を、
主人公がトリックによって追いつめ、白状させます。
奇抜なトリックは犯人ではなく、主人公が用いるところが独特。
そして、このトリックがかなり酷い……。
義憤に燃えていたとはいえ、これをやってのける主人公が
ある意味ホラーです。
『スフィンクス』
*あらすじ*
親類縁者の家に招かれて過ごす主人公。
ニューヨークではコレラが流行し、毎日のように
知人友人の訃報が届く。
冷静ではいられない主人公は、ついに窓から怪物が
斜面を駆け下りるのを目にし、混乱を極めるが……。
……拍子抜けというか、くすりと笑えるオチでした。
ポーがポーであることを逆手に取った話、といえるかもしれません。
でも、あり得るだろうかと……少し思ってしまいます。
3編ともこちらに収録されています。
チャレンジ報告
ポー作品の書評コンプを目指しています。
これで13作品です。
明日は雑学記事の予定です。
それではまた。