エドガー・アラン・ポー|ミステリーの元祖・探偵デュパンシリーズ|『モルグ街の殺人事件』『マリー・ロジェの謎』『盗まれた手紙』

 

皆さま、こんにちは。小暮です。

今日はエドガー・アラン・ポー著『モルグ街の殺人』『マリー・ロジェの謎』『盗まれた手紙』について。

パリの名探偵デュパンが主役の推理小説です。

 

『モルグ街の殺人』

記念すべきデュパンシリーズの一作目。世界初の推理小説といわれています。

名探偵と語り手(助手あるいは友人)、

そして圧倒的な名探偵の推理の前に警察はかすむ存在という構図は、

ドイルのホームズシリーズやクリスティのポワロシリーズなども踏襲していて、

そうした小説の原点となっている作品です。

デュパンは職業として探偵をやっているわけではありません。

若いのに隠遁生活しているニヒルなインテリで、義憤なんていう熱いものはなく、

事件へのかかわり方も、知的好奇心を満たすため、というかんじがします。

デュパンが事件に興味を持ったきっかけは新聞の報道で、

事件の並外れた凄惨さ、奇妙さに、まるで難解なパズルでも解こうというように

警察との人脈を使って捜査に乗り出します。

つらつらとよどみなく語られるデュパンの論理的思考は鮮やかです。

シンプルな展開で、今読んでも、原点となるわけだと思います。

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『マリー・ロジェの謎』

こちらはアメリカで実際に起こった事件をもとにした小説。

舞台をパリに置き換えて、ポーはデュパンに推理させています。

実際の事件は迷宮入りで解決されなかったようです。

しかし、この話、実際の事件へのコラムに近い印象です。

優れた分析力と論理的思考は展開されますが、

情報はすべて新聞の報道から得て、

デュパンがそこからの推理を喋ってるだけなので、話としては退屈。

純粋に謎解きを楽しむなら、余計な情景描写をそぎ落とすのは、

確かに理に適っています。難しいところです。

 

『盗まれた手紙』

三作品中、最高傑作とされています。

ポー自身もお気に入りの作品だったようです。

警視総監が難事件を抱えデュパンに相談しにやってくるのですが、

相談というより、愚痴を言いにきたという体裁で、

そんなつもりはないんだけど(でも解決しなくて困ってるんで)

興味あるだろうから話してもいい(ほんとは相談したい)

と、決まり悪そうに話し始めます。

然る貴婦人の名誉がかかった手紙を取り戻さなければならないという、

政治的陰謀の匂いがする事件です。

当時のフランスは七月王政で、ルイ・フィリップが王位についていました。

もしかしたら、名前の出てこないこの貴婦人は王妃マリー・アメリー?

といっても、作中に王侯貴族の姿はちらりとも出てきません。

陰謀を働いた大臣くらいでしょうか。でも名前は出ず。

物語の舞台はデュパンの部屋で展開され、特命を帯びたにもかかわらず

手紙を見つけられない警視総監が再び部屋を訪れたとき、

デュパンがポケットからその手紙を出して見せます。

果たして手紙はどこにあったのか……。

とても洗練された作品です。

三部作ともこの一冊に収録されています

 

チャレンジ報告

ポー作品の書評コンプを目指しております。

これで、5作品。遠い道のりです。

 

次回は10月14日更新予定です。

それではまた。

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