トーマス・マンに見入られた少年たち『ヴェニスに死す』

 

皆さま、こんにちは。小暮です。

今日はトーマス・マンヴェニスに死す』について。

といっても今回は、作家や作品にまつわる裏話が中心です。

 

トーマス・マンヴェニスに死す』

トーマス・マンはドイツの作家で、

魔の山』『ヴェニスに死す』などの著作で知られます。

当ブログで以前にご紹介しましたエドワード・ゴーリー

嫌いな作家の一人でもあります。

理由は、文章が長く細々と書きすぎるのにリアリティがないから。

ゴーリー談です。

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有名な『ヴェニスに死す』は、

旅行先のヴェニスの地で出会ったポーランド人美少年タージオを追いかけ回す

初老の小説家アッシェンバッハの話です。

アッシェンバッハは見ているだけで、ほぼ何もしないのですが、

何もしなくてもアウトですね……。

 

そして、この小説にはモデルとなる人物がいました。

ちょうど、著者であるマンがヴェネチアに旅行に来ていた折、

同じように家族とヴェネチアを訪れていた美少年がいたのです。

彼の名はヴワディスワフ・モエス男爵。

ポーランド貴族で、ヴェネチアでマンの目に留まったときは

まだ11歳でした。

男爵は「なんだかじろじろ見てくるオジサンがいる……」と、

マンのことを覚えていたそうです。

当然、『ヴェニスに死す』のモデルが自分であることに気づいたのですが、

そのことについて公言はしませんでした。

「こういうつもりだったわけ?」

少年時代の思い出なので、かなりショックだったのではないでしょうか。

「あの有名な小説のモデルは自分なんだ」

なんてことも話しづらい。この内容じゃあ。

 

作家が実在の人物で印象の強い人をモデルに

話を書くというケースは結構ありますね。

問題になっていることも多い。

男爵については生前知れ渡ることはなかったわけですが、

本人の心の負担はかなりあったのではと思います。

ルキノ・ヴィスコンティ『ベニスに死す』

この作品は、映画化もされています。

私はこの映画を観たことはないのですが、

ググるとぞろぞろっと出て来る画像の数々。

アッシェンバッハが白塗りメイクしてたり、

タージオが顎クイされてたり、だいぶ脚色もされていそう。

タージオ役のビョルン・アンドレセンは本当に美しく、

文化人に理想の美だとかなんとか言わせてしまうだけの説得力があります。

 

ビョルン・アンドレセンは健康的な青年で、

映画の役と混同されてしまうことにストレスを感じ、

故郷のスウェーデンを離れてデンマークに移り住むなどしていたそうです。

現在60歳。おじいさんとなった写真も見ましたが、穏やかな表情だったので

ホッとしました。

明日はエドガー・アラン・ポー『早すぎる埋葬』の予定です。

それではまた。

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