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本当にあった怖い話を小説化。ヤロスワフ・イヴァシュキェヴィッチ『尼僧ヨアンナ』

 

皆さま、こんにちは。小暮です。

今日はヤロスワフ・イヴァシュキェヴィッチ著『尼僧ヨアンナ』をご紹介します。 

 

イヴァシュキェヴィッチについて簡単に

ポーランドの作家にして詩人です。代表作はほかに『菖蒲』など。

『尼僧ヨアンナ』は第二次世界大戦中、

ドイツ軍の占領下にあったワルシャワで執筆されました。

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『尼僧ヨアンナ』のあらすじ

中世末期のポーランド辺境の町ルーディンに、

神父スーリンがやってくる。

ルーディンの尼僧院で尼僧たちが悪魔に憑かれたので、

悪魔祓いのために派遣されたのだった。

尼僧長ヨアンナをはじめ尼僧たちに憑いた悪魔は手強い。

ほかの神父が匙を投げる中、スーリンは手を尽くすが、

成果は上がらない。

前任のガルニエツ神父は悪魔の誘惑に負けてヨアンナと通じたために

火炙りになったという。

ヨアンナは背虫で、けっして美人ではないが、

時折ハッとするほど魅力的だった。

次第にヨアンナに惹かれていくスーリンは、追いつめられ、

ついに、破滅の道を選ぶ。

 

ルーダンの憑依事件

この作品は、かつて実際に起きた事件を題材にしています。

その事件とは、17世紀フランスのルーダンで起こった悪魔裁判です。

ウルスラ会修道院の修道女たちが集団で悪魔に取り憑かれ、

地面を転げまわり、奇声を張り上げ、

ブリッジ状態で階段を駆け上がるなどの奇行を働きました。

調査の結果、グランディエという別の教会の司祭が悪魔を憑かせたとされ、

裁判の結果、グランディエは火刑に処されます。

裁判中、グランディエを陥れるために憑依状態を演じたという証言も出ましたが、

グランディエを魔法使いとする証拠は充分だとされました。

このとき、最も激しい憑依状態にあった修道院長がヨアンナという名……

だったと思うんですが、確認のために調べてみても出てこないので、

ちょっと自信がありません。

 

まとめと感想

意外におどろおどろしい小説ではありません。

悪魔やオカルトについての話ではなく、

人間の苦悩がテーマなのだなと感じました。

そもそも、作家は悪魔憑きの原因について明確な見解を持っており、

それは少しも神秘主義に基づいていないので、

ミステリアスさよりもくすぶった田舎町の土臭さのほうが目立ちます。

ラストは衝撃的です。

やや唐突にも思えましたが、突然の暴発は

生真面目で世間を知らないスーリンゆえにでしょう。

スーリンが悪魔という概念を知らなかったら、

この結末は回避できたのかどうか……。

しかし、違う形で破滅を迎えていたのではという気もします。

映画のヨアンナは美しいです。 

明日はトーマス・マンヴェニスに死す』の予定です。

それではまた。

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