ボーモン夫人『美女と野獣』
皆さま、こんにちは。グレコです。
今日はボーモン夫人『美女と野獣』について。
この作品について
有名な童話なので、もしかしたら、
グリム童話やペロー童話に所収されている話の一つのような
印象があるかもしれません(私だけ?)。
実際は、ボーモン夫人というフランスの女性作家が創作したお話です。
『美女と野獣』との出逢いは
私は同名アニメ映画の主題歌の美しさに感動して、
この物語に興味を持ち、単行本を手に取りました。
ですから、童話なのですが、読んだのはすっかり大人になってからです。
あらすじを簡単に
さて『美女と野獣』のあらすじは……
***
気立てのいい善良な娘ベルは、
商人の父を救うため、怪物のもとへゆくことになります。
それというのも、父親は商いの旅の帰り、
道に迷って、怪物の邸に泊まらせてもらいますが、
その庭にあったバラを手折ってしまい、
怪物の激しい怒りを買ってしまったのです。
そのバラは、ベルへの土産にしようとしたものでした。
父の代わりに邸に赴いたベルに、怪物は親切でした。
見た目は野獣のように醜いのですが、心はとても優しく、
庭のバラを大切に育てているのです。
野獣の誠実さに、次第にベルも信頼を寄せるようになります。
その怪物は、実は呪いをかけられた王子で、
やがて、真実の愛によって呪いが解け、
ベルは王子と幸せな結婚をします。
***
大枠は、いかにもヨーロッパの童話らしい筋立てなんですが、
途中ですったもんだあり、意地悪な姉さんたちとの攻防は見物です。
また、野獣の求婚を頑なに拒んでいたベルが
衰弱した彼に駆け寄って愛を告げる場面はとても印象的です。
物語の背景から考える
昔のヨーロッパの童話は子供の教育が強く意識され、
物語の終わりに一々教訓が書かれていたりするのですが、
例に漏れず『美女と野獣』も多分に教育的メッセージを含んでいます。
それがちょっと鼻につくところもなくはない。
特に姉さんたちの扱いはヒドイ。
ヒロインだけがすばらしく他の女は悪女というお話、
結構多いように思います。
魅力的な女性たちが織り成す群像劇のような展開のほうが
個人的には惹かれますが。
魅力の核心
この物語の一番の魅力は、
輝くばかりに麗しい美女と、この世のものとは思えないほど醜い野獣との、
光と影のような容姿のコントラストでしょう。
並んで立っているだけで危うげでグロテスク。
そして、陰と陽のような、表裏一体で成り立つものの姿を
そこに見出す心地がします。
それではまた。