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ガラスの心に滲む紅涙。吉屋信子『屋根裏の二処女』

 

皆さま、こんにちは。グレコです。

今日は吉屋信子著『屋根裏の二処女』について。

 

吉屋信子について簡単に

吉屋信子は『花物語』で有名になった作家です。

その作品の殆どが少女向けで、

当時流行した女学生同士の友達以上の関係『S』を

テーマにした小説を多く執筆しました。

吉屋信子自身については判断が難しいですが、

当時の少女たちの『S』は

フェミニズムの発露という側面が強かったのではと思います。

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この作品について

この物語においても、主軸となるのは主人公・章子と

寮の同部屋の秋津さんとの関係です。

主人公の章子はとにかく弱々しい、

なにもかもに怯えきっているような女の子です。

若さゆえの情緒不安定、自尊心の欠如、

いつも思いつめていて、自分を守れず、落ち込んでばかりいる。

章子は、美しく大人びて落ち着いている秋津さんに憧れを募らせてゆきます。

が、彼女を想うあまり、疑心暗鬼になり、

諸々のネガティブな感情が顔を出し始めてしまいます。

 

まとめと感想

思春期の少女の引き裂かれるような痛みが胸に迫ります。

章子の心はきっと無数の生傷で赤く腫れ上がっているのでしょう。

かといってこの子が魅力的かというと……それはかなりの疑問。

本人も「不様」だと思いながら、それでも、

なんとか想いを伝えられたのが良かったのかもしれません。

ちょっと引いてしまうような激しいやり方ではあるんですが……

受け止めた秋津さんは章子よりだいぶ大人だと思う。

たぶん章子より先が見えていたんじゃないでしょうか。

この想いを受け止めるというのがどういうことか。

 

二人で手を取り合い生きていこうという結末は、

世間から弾かれる悲哀を漂わせながらも、一抹の清涼感があります。

明日は酒井駒子『金曜日の砂糖ちゃん』の予定です。

それではまた。

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