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首なし騎士の怪異。伝奇小説『スリーピーホローの伝説』と映画『スリーピーホロウ』

その他 怪奇小説

 

皆さま、こんにちは。小暮です。

今日はワシントン・アーヴィング著『スリーピーホローの伝説』と

映画『スリーピーホロウ』についてです。

 

伝説の”首なし騎士”

スリーピーホローというのは、アメリカに実際にある地名のようです。

訳すと、”まどろみの窪地”となります。

この土地には独立戦争で大砲に頭を打ち抜かれたという、

首なし騎士の幽霊が出るという伝説が伝わっています。

ただし、何か酷い悪さをするというよりは、

『出るらしい』と噂されるくらいの幽霊のようです。

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小説『スリーピーホローの伝説』

首なし騎士の伝説をもとに、ワシントン・アーヴィングが書いた作品。

『スケッチブック』という本に、短編作品として収録されています。

*あらすじ*

学校教師イカバッド・クレーンは、スリーピーホローの地に住み着き、

子供たちに勉強を教え始める。

村一の豪農ヴァン・タッセル家には、年頃の美しい娘カトリーヌがいて、

一人娘の彼女はやがて裕福なその家を継ぐことが約束されていた。

イカバッドと村の青年ブロム・ボーンズは、

カトリーヌを巡って火花を散らす。

やがてヴァン・タッセル家で『縫物仕事の会』という名目の

パーティーが行われ、その帰り道、イカバッドの目の前に

首なしの亡霊が姿を現す。

のどかな田舎町の昔話という趣です。

美しい娘と彼女の家が所有する豊かな実り。

農家だけにその財産は”食”と直結しています。

イカバッドの野心が情景描写に反映され、

その瞳に世界が輝いて映っているのがよくわかります。

しかし幽霊が登場するくだりでは、うってかわって、

彼を取り巻く世界は暗く不安なものに様変わりします。

 

怪談というより民話の雰囲気です。ラストの解釈によるところもあります。

首なし騎士はあまり出てきません。

恐怖のもとはあまり出てこないほうが怖いんですが、

前半においては存在感も薄いように思います。

実りと幽霊、素朴さと意地悪さ、恋心と胸算用。

エネルギッシュでグロテスクな人々の生命力に

幽霊も掻き消されるかんじですが、

最後は弱った心の隙間につけ込んだといった形。

イカバッドにとっては踏んだり蹴ったりです。

映画『スリーピーホロウ』

アーヴィングの小説をもとに、ティム・バートンが映画化した作品。

主役のイガボット・クレーン役はジョニー・デップ

ヒロインのカトリーヌ・ヴァン・タッセル役はクリスティーナ・リッチ

話自体かなり脚色されていて、イガボットの人物像も

原作のような野心家ではなく学者肌というかんじです。

発明好きのイガボットがよく操る道具はスチームパンクぽいデザイン。

カトリーヌもちゃんとヒロインらしく、

童顔でグラマラスなクリスティーナ・リッチは豊饒の象徴としてぴったりです。

そして、首なし騎士は原作に比べて躍進の登場回数。

容赦なく首を飛ばして回ります。首切りシーンはかなりの量です。

さらに、首なし騎士の背後にはある陰謀が動いていて、

それを解き明かそうというミステリー要素もあります。

とにかく映像が美しいです。

ガボットのややコミカルな性格付けが、

個人的にはちょっと惜しい。

もっとジトジト暗いと良かったんですが……せっかくのゴシック怪奇なのだから。

公開当時に映画館で観ましたが、

美しく作り込まれた世界観にはどっぷり浸れました。

アイアンメイデンからイガボットの母親が出てくるシーンを

よく覚えています。

美しいだけに衝撃的で。

漆黒の騎士が幼い二人の姉妹に出会うシーンも印象的でした。

結末は原作よりスッキリします。

しかし、原作のイカバッドの逞しさにも

私などは期待してしまいます。

次回は10月23日更新予定です。

それではまた。

 

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