珍しくほのぼの系で読みやすい。エドワード・ゴーリー『胡乱な客』『まったき動物園』
皆さま、こんにちは。小暮です。
絵本特集の2日目になります。
今日ははエドワード・ゴーリー著『胡乱な客』『まったき動物園』です。
『胡乱な客』
最初の邦訳『ギャシュリークラムのちびっ子たち』から1ヵ月後、
2000年11月に発表されています。
主人公は長いマフラーを巻いたアリクイのような動物。
嵐の夜にヴィクトリア朝の屋敷に突然やって来て、
以来17年間居座り続けているという話。まさに胡乱な客です。
屋敷の家族はどういうわけか追い出しもせず、振り回されています。
壁に鼻の頭をくっつけてじっとしてたり、
大事なものを川に投げ入れて保管しようとしたり、
寝ぼけてうろうろしたり、
胡乱な客は、無害で、どことなく憎めない、まるで小さな子供のようです。
ヘンテコではあるんですが、なんとも微笑ましくて可愛い。
この作品については、友人の出産に着想を得たとも言われますが、
ゴーリーは作品について語るのを好まず、
すべては定かではありません。
『ギャシュリークラムのちびっ子たち』に比べると、
ずっと読みやすく、ゴーリーの絵本の中でも人気の高い作品です。
『まったき動物園』
ゴーリーの十八番ABC詩の絵本です。
ABC詩にのせて描かれるのは世にも奇妙な動物たち。
動物じゃなくてオバケじゃないのというのもいます。
”起きよう起きようと己に鞭打ってみるけど『惰眠に暮るる』”とか
”『忘我の境に浸りつつ』ささやかな踊りを繰り広げているよ”とか、
およそ動物の生態からはかけ離れ、
”痙攣し『挙句の果てに、哀ればらばら』”とか、
もう生きてなさそうなのもいます。
そんなに怖さはないと思うのですが、好みが分かれそうなのは
いつものことかもしれません。
五七五七七の短歌形式で綴られる日本語訳もユーモアが効いています。
チャレンジ報告
ゴーリーの書評コンプに挑戦しています。
これで10作品。まあまあ順調でしょうか。
明日は絵本特集の3日目、酒井駒子『BとIとRとD』の予定です。
それではまた。