意外とほのぼの系マンガなんです。『栞と紙魚子の生首事件』

 

皆さま、こんにちは。小暮です。

今日は“脱線の3日間”最終日。

栞と紙魚子の生首事件』をご紹介します。

 

このマンガについて

マンガなので、本という観点からすれば、

脱線ではないんですけどね。

ご紹介するマンガはこれ一つになりそうなので……。

ネムキ』という雑誌に連載されていた少女向けホラーマンガです。

ネムキは眠れぬ夜の奇妙な話、という意味。

作者の諸星大二郎氏は『西遊妖猿伝』など伝奇漫画家として知られます。

濃い目の絵柄で、あんまり少女向けではない。

でも、それを補って余りある、話の面白さ。

オカルト要素満載ながらも、視点がほのぼのと温かく、

とても読みやすいものになっています。

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怖くて不思議でとぼけた事件

なんといっても表題作の第一話がシュールです。

始まりは文句なしにホラーなのに、

途中から、なぜそうなる、という展開に。

唖然としながら読み進めていると、

いつの間にか引き込まれて笑っている。

なんとも味わいのあるホラー作品です。

『ためらい坂』のようにB級展開の話もあれば

『ゲッコウカゲムシ』のように情感ある不思議が描かれた話もあります。

クトルーちゃんというキャラクターは

グロテスクの一言に尽きる……。

ペットのヨグも含めて……。

この子が関係してくる話はホラー度が跳ね上がります。

一番ゾッとしたのは、7話『それぞれの悪夢』の

栞の悪夢ですね。

猫を飼っているなら、並の怪談よりも恐怖だと思います。

いえ、結局、笑えるんですが。

 

栞と紙魚子

この作品の味わいを深めているのが、

主人公の二人の女子高生のキャラクターです。

天然ボケの栞とオカルトに強い紙魚子が活躍するのですが、

ボケとマニアのコンビなので、

一見ツッコミに見える紙魚子も途中からズレてしまい、

栞と一緒にボケはじめます。

発想の飛躍は、この年代の少女特有の思考をよく捉えています。

栞は美少女らしいのですが、だいぶ読者の脳内補完が必要。

読んでいると、そこも味だと思えてきます。

 

まとめと感想

あくまで意外とほのぼの系なので、

しっかりホラー要素もあります。

ホラーに耐性がない方は要注意だと思います。

きっと眠れぬ夜に読みはじめたら

もっと眠れなくなる……というわけでもなく、

結構ぐっすり眠れそうです。

栞と紙魚子ののんびりした性格と仲の良さが、

このマンガをほのぼのとさせてくれる要因であり、

一番の魅力です。

以上で、“脱線の3日間”無事連載終了です。

ありがとうございました!

 

明日はコラム記事の予定です。

それではまた。

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