キュートでドロドロ。フランス流の昼ドラ劇『8人の女たち』

 

皆さま、こんにちは。小暮です。

今日は“脱線の3日間”2日目『8人の女たち』について。

 

映画について

フランソワ・オゾン監督のフランス映画。

背中と名前だけしか登場しない男性マルセルを巡る

8人の女たちの物語です。

もともと舞台作品がモチーフになっているので、

映画ですが舞台のような演出が随所に見られます。

また1950年代のハリウッド映画のテクニカラーが強く意識されています。

(テクニカラー:フィルム映画の彩色技術。

 1916年にアメリカで開発された世界初の三色法)

なんといっても、フランスきっての名女優たちの豪華な共演が見所。

女優ごとのテーマカラーに沿ってデザインされた衣裳や、

歌って踊る演出など、とにかく女優を際立たせる華やかな映画です。

彼女たちには往年のハリウッド女優たちのイメージも重ねられています。

 

あらすじ

ミステリ仕立ての物語です。

クリスマス休暇で家族みなが顔をそろえる日、

ベッドで絶命していた屋敷の主マルセル。凶器はナイフ。

折りしも大雪が降り、屋敷から出るもままならず、

連絡を取ろうにも電話線が切られている。

犯人はまだこの屋敷にいるのか、

それとも、8人の女たちのうちの誰かなのか――?

差し迫った状況のはずなのに、どこかのんびりしていてコミカル。

20世紀初頭という時代設定のせいなのか、

彼女たちの関心が屋敷の主にないせいなのか。

ラストですべてのカラクリが解き明かされるけれども、

ほろ苦い結末となります。

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8人の女たち

登場する女性たちについて簡単に書いておきます。

マルセルを巡る人間関係に注目してみてください。

 

ギャビー(カトリーヌ・ドヌーヴ

マルセルの妻。グラマラスなブロンド美女。

マルセルとは離婚を考えている。

 

ルイーズ(エマニュエル・ベアール

屋敷のメイド。華奢でミステリアスなブロンド美女。

マルセルの愛人。

 

オーギュスティーヌ(イザベル・ユペール

ギャビーの妹。神経質な赤毛のオールドミス。

姉に隠れてマルセルに言い寄っている。

 

ピレット(ファニー・アルダン

マルセルの妹。セクシーなブルネット美女。

恋人のために、兄から金を無心している。

 

スゾン(ヴィルジニー・ルドワイヤン

ギャビーの連れ子でマルセルの義理の娘。黒髪の清楚な美少女。

マルセルに難題を相談しに帰ってきた。

 

カトリーヌ(リュディヴィーヌ・サニエ

マルセルとギャビーの娘。ブラウンボブの快活な少女。

父親のマルセルを慕っている。

 

マミー(ダニエル・ダリュー

ギャビーとオーギュスティーヌの母親。物腰柔らかな老婦人。

財産家だがマルセルへの援助を断る。

 

シャネル(フィルミーヌ・リシャール)

屋敷の家政婦。豊満なアフリカ系女性。

ピレットと深い仲。

 

複雑きわまる人間模様

一言で言うと、かわいそうなマルセル。

よれよれでくたくたです。

彼を特に悩ませているのは、妻ギャビーと姑マミー、そして妹のピレット。

次いで、スゾン。ルイーズ。オーギュスティーヌあたりでしょうか。

カトリーヌは味方だし、シャネルはあまり関わってきませんから、

実質6人の女たちです。

でも、マルセルの自制心のなさから招いた関係もあるので、

自分のあやまちに追い立てられてもいます。

ピレットが兄から無心した金がすごいところへ流れていたり、

マミーにとんでもない過去があり、

それがオーギュスティーヌのトラウマに繋がっていたりと、

女同士の関係ももつれにもつれています。

マミーは車椅子に乗っているけれど実は歩ける(!)

年齢を重ねるほど増す女のすごみも効いています。

これだけゴチャゴチャだと、すごく……疲れるでしょうね……。

 

まとめと感想

映画マニアが作った映画という印象です。

過去の名画、名女優へのリスペクトに溢れています。

もちろん映画通でなくとも、楽しめる映画です。

公開当時は『アメリ』に絡めて宣伝されていましたが、

もっと濃厚で懐古趣味。

とんでもなさすぎて思わず笑ってしまう。

突き抜けた図太さを持ち合わせた女性たちの物語です。

内容のわりにコミカルなのは、

人物描写が現実ばなれして誇張されているからでしょう。

おしゃれで色鮮やかな映像と、

演劇くささが、リアリティを微塵も感じさせず、

良質のエンターテイメントとして魅せてくれます。

明日は“脱線の3日間”最終日『栞と紙魚子の生首事件』の予定です。

それではまた。

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