カレン・ウィルキンソン『エドワード・ゴーリー インタビュー集成 どんどん変に・・・』―ゴーリーの生活様式―
皆さま、こんにちは。グレコです。
今日はカレン・ウィルキンソン編『エドワード・ゴーリー インタビュー集成 どんどん変に・・・』―ゴーリーの生活様式―です。
はじめに
こちらはゴーリーの永年に渡るインタビューを集めた本で、
実に1974年から1999年までのインタビューが収録されています。
雑誌や新聞、ラジオなどメディアは問わず、テレビ番組での遣り取りもあります。
当然のことながら、質問への答えはすべてゴーリーが口頭で応じたもの。
そこからはゴーリーの人柄が否が応にも浮かび上がります。
今回はこの本を手がかりに、ゴーリーの人物像を探っていこうと思います。
テーマを変えての連載になります。
副題は、その記事に合わせてつけてみました。
初回はまずゴーリーの暮らしぶりについて。
ゴーリーの部屋
ニューヨーク時代のマンションと、
移り住んだケープコッドの家があります。
アンティークな家具や雑貨を好み、
絵や手製の人形を飾っていたそうです。
ケープコッドでは夏の間は屋根裏部屋で過ごすんだとか。
どちらの家でも変らないのは、本の柱と製図台。
ケープコッドの家には床から天井まで本が積み上がっていたそうです。
“隠れ家”と評されています。
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……本の柱がインテリアとして興味あります。
やってみたいけど、うちにはそんな大量に本はないなあ。
ゴーリーはコレクターの気があったそうです。
ゴーリーのファッション
大変特徴的だったようです。
ゴーリーは非常に背が高く、あごひげを生やしていて、
たくさんのアンティークの指輪を両手指に嵌め、
左耳もしくは両耳にゴールドのイヤリングをつけ、
ジーパンとスニーカーに毛皮のコートを着ていたそうです。
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ゴーリーの人柄は大変評判が良く、
「見た目とは裏腹に」というふうに評されます。
相当目立つファッションだったようですね。
そういうところが如何にもアーティストらしいといえばそうですし、
一方で、冷静で知的なゴーリーは、
人々の反応をよくわかってもいたかもしれません。
そういう印象を与えたいと望んでいる節は一切ありません。
自分の好むファッションと、人々の眼差しとの関係を、
よく把握していたというところでしょうか。
ゴーリーの日常
絵の制作にかかるのは二日程度。
なかなか仕事にかからないが、仕事は速い。
外に出かける理由を見つけると、その日の仕事はオシマイ。
……というふうに、ニューヨーク時代にインタビューに答えています。
ニューヨーク時代は一日に4~5本の映画を観たり、
贔屓のバレエ公演を23シーズン皆勤で鑑賞したりと、エネルギッシュです。
いつも決まったコースをよく散歩していたんだとか。
ケープコッドに移り住んだのは(それまで交互に暮らすこともあったものの)
50代半ばなので、大都会とのどかな田舎という環境の違いとも相俟って、
より静かな暮らしになったようです。
どちらの暮らしでも、読書と映画や舞台の鑑賞は必須事項。
なんとも羨ましい生活。
ゴーリーと猫
猫好きで知られるゴーリー。
実生活でも6匹の猫と暮らしています。
興味深いそのインタビューを受けたときは5匹。
『源氏物語』から名前を貰った猫もいるそうです。
登場人物は430余名……確かに。
日本語の発音は難しいので、ニックネームにすることもしばしば。
その5匹の猫の名前はと言うと、
アグリッピナ。カンズケ。ココ。トノチャン。スタッブズ。モード。
アグリッピナはローマ皇帝ネロの母親から取っています。
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説明はなかったけれども、源氏物語からとったのは
カンズケと……トノチャンでしょうか。
調べてみたら、まあどっちも出てこない。
『源氏物語』よりも、ほぼ同時代の宇津保物語から
『上野(かんずけ)の国』というのが出てくる。
さらに調べると、ようやく、上野親王(かんずけのしんのう)という名が。
どうやら、たった一場面、一度だけ、名前のみ出てくるという人物。
……なぜこのチョイス!
トノチャンをニックネームだとして考えてみたんですが、
もしかして、頭の中将だろうか……。
明日はカレン・ウィルキンソン『エドワード・ゴーリー インタビュー集成 どんどん変に・・・』―ゴーリーの文化的探求―の予定です。
それではまた。