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光と影の一族。清少納言『枕草子』中の関白家篇

枕草子

 

皆さま、こんにちは。グレコです。

今日は定子の実家である中の関白家の人々について。

枕草子』以外の資料からも、ご紹介したいと思います。

 

道隆

中の関白。定子の父親です。

枕草子には明るく冗談好きな様子が描かれています。

「宮(定子)は私にお着物のお下がりもくださらないよ」

……定子の着物は若い女性用なので道隆が着るわけはないのですが、

こういうことを言う人だったらしい。

華やかに浮名を流す人でしたが、高階貴子との間にもうけた子を

嫡流として重んじました。

貴子が詠んだ歌は『百人一首』に採られています。才色兼備だったようです。

理由はわかりませんが、妹で、一条帝の母である詮子と仲が悪かったようです。

詮子は弟の道長に肩入れし、伊周の関白就任が阻まれ、長徳の変へと繋がってしまいます。

 

兄弟1

道隆は貴子との間に、三男四女をもうけます。

 

三男・伊周。

道隆の嫡男として、内大臣まで登りますが、後に失脚。

漢学の才は随一と評されています。ただ、あまり人望がなかったようです。

才走って愛想ナシだったのだろうか……。

若くして出世しすぎて処世術を学ぶ暇がなかったろうとは思います。

出世は道隆のテコ入れだったので、かなり恨みを買ったようです。

伊周の逸話は、枕草子で多く語られています。

参考までにこちらの記事も。

glleco.hateblo.jp

 

長女・定子

一条帝の后にして清少納言の女主人。

詳しくはこちら。

glleco.hateblo.jp

 

四男・隆家

中納言枕草子に登場するときはまだ十代で、

兄の伊周とよく行動をともにしています。

枕草子で隆家が主役のエピソードは次のとおりです。

***

姉である中宮定子の元を訪れ、隆家は扇を献上するのですが、

「大変珍しい骨を使って仕立てさせた扇です」と言うものの、

何の骨なんだか要領を得ず、ただ見たこともないほど珍しいと言うばかり。

「クラゲの骨ですね」と少納言が言うと、

「それはいい、隆家が言ったことにしよう」と大笑いします。

***

枕草子では「この隆家」と口癖のように言っています。

一人称が名前なのかと考えると、ものすごくおかしい。

隆家は長徳の変後、零落はするものの、気骨のある人物へと成長し、

失意に沈む兄・伊周とは異なり、道長からも一目置かれるほどになります。

九州に赴任しているときも、外敵を撃退するなど功績を上げています。

他の兄弟が夭折する中、隆家だけは65歳まで生きました。

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兄弟2

 

次女・原子。

淑景舎。後に三条帝となる東宮に嫁します。

枕草子では、父・道隆に東宮からの手紙をからかわれて、

恥ずかしがって黙ってしまったり、

兄弟の隆円に道隆の笛をねだられて知らん顔をしたり、

おとなしい様子で描かれています。

本来は明るく華やかな人柄であったようです。

東宮の寵愛を受けました。

 

五男・隆円。

枕草子では僧都の君と呼ばれています。若くして仏門に入りました。

一条帝と同い年ですが、原子の兄なのか弟なのかはっきりしません。

枕草子では、少納言が受け取った名筆の手紙を譲って欲しいとせがんだり、

原子に笛を譲って欲しいとせがんだり、おねだりの印象が強い人です。

一条帝と親交が深く、一条帝が出家するとき、

その頭を剃ったのは隆円だったそうです。

 

三女・頼子(?)

枕草子では、中宮定子の下に中の関白家が揃う場面で、

肥っていて奥方様のような貫禄、と評されています。

定子が19歳のときなので相当若かったはずですが……。

冷泉帝の皇子・敦道親王に嫁しますが、『大鏡』によると、

気性が激しく、うまくいかなかったようです。

枕草子にも殆ど登場しませんし、資料もあまりないようです。

 

四女・御匣殿

一条帝のお針子を務めました。美人だったと『大鏡』は伝えています。

枕草子では、頭の中将・斉信から逃れようとする少納言を匿っています。

(斉信は道長の側近で、少納言に言い寄っていた人物)

定子の不幸の後、一条帝の寵愛を受けます。

 

異母兄弟

道頼

山の井大納言として、枕草子にもよく登場します。

人柄もよく、人望のある人物で、美男子だったそうです。

道隆の長男で、伊周の異母兄ですが、

伊周が嫡男とされたため不遇だったようです。

清少納言もお気の毒だと枕草子に書き記していますが、

中の関白家一同が揃う場面では道頼の朗らかな姿も見られます。

 

中の関白家の衰退

道隆が世を去った後、雲行きが怪しくなり、

長徳の変によって一気に衰退してしまう中の関白家。

虎視眈々と機を窺っていた道長に、ここぞとばかり、

手酷くやられてしまいました。

道隆が国母の詮子とギクシャクしていたのも頂けないし、

伊周のスピード出世で、賢人右府・実資といった道長以外の公卿も

敵に回してしまいました。

 

まとめと感想

中の関白というのは道隆のことで、

中の関白家は彼を祖とする家柄なんですが、

道隆の時代にもう悪い布石を置いてしまった印象です。

いろいろしくじったねえ……。

というより道長にうまくやられたねえ……。

道長という人は天運を掴んだんでしょうね。

そして、やり過ぎというくらい徹底的にやりますね。

敵役を担う羽目になった中の関白家。

こっちは最たるアンラッキー。

相手が悪かったと思う。

枕草子―付現代語訳 (上巻)

 

明日は『枕草子』~頭の弁行成篇~の予定です。

それではまた。

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