ペーター / ル・カイン『キューピッドとプシケー』

 

皆さま、こんにちは。グレコです。

今日はペーター / ル・カイン作『キューピッドとプシケー』について。

ウォルター・ペーターの原作にエロール・ル・カインが絵を描いた、

モノクロームの美しい絵本です。

 

この物語について

キューピッドは美の女神ヴィーナスの息子で愛の神。

プシケーは彼に見初められた美しい人間の娘。

そんな二人の恋物語が幻想的に描かれます。

 

余談ですが、キューピッドはローマ風の名前でギリシア神話ではイーロス、

ヴィーナスはアフロディテといいます。

名前はローマ風のほうが有名ですね。

 

物語との出逢い

子供の頃読み耽っていた少年少女世界文学全集という本には、

各地の神話も多く所収されていて、エジプト神話、北欧神話

そして勿論、ギリシア神話もありました。

数ある神話群の中でも、ギリシア神話はとりわけ華やかで、

子供心に夢中になって読んだ想い出があります。

 

ペルセウスとアンドロメダの物語、ミノタウロスの迷宮、

ナルキッソスとエコーの物語はナルシストの語源にもなっているお話です。

アキレス腱の語源になった英雄アキレスの話もありますね。

トロイ戦争もギリシア神話の中で語られています。

 

こうして読んだギリシア神話の中に、

『キューピッドとプシケー』の物語も入っていたかと思います。

 

作品についての意外な事実

悲しい結末の多い中、殆ど唯一とっていいくらいのハッピーエンドだったので、

そこがすごく印象的だったのですが……

 

……実は、ギリシア神話じゃなかった。

 

だいぶ後になって知ったのですが、『キューピッドとプシケー』は

19級世紀のイギリスの批評家ウォルター・ペーターが創作したもので、

本来のギリシア神話とは別個のものです。

どうりで他とちょっと違ったわけだ……。

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あらすじ

ある都の王の末娘・プシケーは大変に美しく、

あまりの美しさに人々がヴィーナスへの信仰を忘れるほどなので、

ヴィーナスは怒り、プシケーを罰しようと、息子のキューピッドを遣わします。

キューピッドは射抜くと忽ち恋に落ちる魔法の矢を持っていましたので、

それを使おうとしたのですが、誤って、その矢で自分を傷つけ、

キューピッド自身がプシケーに恋してしまいします。

 

一方で、プシケーは「人間ではない恐ろしい怪物と結婚するだろう」という神託を受け、

絶望しながら婚礼衣裳をまとい、山の頂に上ります。

西風の神ゼフィロスに導かれてやってきたのは、

谷の奥の花咲く場所で、そこには神々しい館が建っていました。

その館で、奇妙な新婚生活が始まります。

それというのも夫は夜だけ訪れ、顔も姿も一切わからないのです。

しかし、夫は優しく、何不自由のない暮らしは幸せなものでした。

 

ある日、プシケーを心配して館を訪れた二人の姉たちに、

姿を見せないのは神託どおり怪物だからではないかと言われ、

プシケーは不安のあまり、夜、そっと灯かりをつけて、

夫の寝顔を覗きます。

眠っていたのは翼を持った美しい青年神キューピッドでした。

思わず見惚れていると、灯かりのろうそくの蝋がぽとりとキューピッドの上に落ち、

大火傷をしたキューピッドは忽ち目を醒まして、飛び立ってしまいます。

夫を追って、プシケーの、セレスの神殿から黄泉の国までもの旅路が始まります。

***

結末は後味のよい大団円。

後半にかけて、おとなしいお姫様だったプシケーが

随分な遠くまで旅したり、ちょっとおっちょこちょいだったり、

いろんな表情を見せてくれます。

 

絵本になった物語

このお話に、絵本作家の巨匠ル・カインが絵をつけました。

ル・カインの絵柄は装飾的で、もともとは非常にカラフルです。

格調高く優美な物語に合わせ、敢えてのモノクローム

表紙や、ヒツジの群れ、渡し守カロン、ラストの宴の絵など、

神秘的でステキです。

 

昔、本屋でこの絵本を見つけたとき、全然買う予定じゃなかったのに、

つい買ってしまった……。

子供の頃に読んで好きだった話だし、モノクロで華のある絵も好み。

片手には同じル・カインの『おどる12人のおひめさま』という絵本を既に持っている。

いや、どうしよう、でもなあ、うん、えいっ。

というかんじで2冊ともレジまで持って行った。

本棚の前で逡巡するヘンな客だったこと請け合いです。

明日は長野まゆみ『夜啼く鳥は夢を見た』の予定です。

それではまた。

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