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田辺聖子『田辺聖子の今昔物語』

文学

 

皆さま、こんにちは。グレコです。

今日は田辺聖子著『田辺聖子の今昔物語』について。

 

この作品について

平安時代に成立した説話集である『今昔物語』から、

本朝世俗篇に焦点を当て、作家が選り抜いた物語を

作家の感性で現代語の物語に仕立て直したものです。

 

作家について簡単に

著者は朝ドラ『芋たこなんきん』の原作者でもあり、

現代のお話も多数書いていますが、

古典にも大変造詣が深く、枕草子を小説にした『むかし・あけぼの』などの作品があります。

私が著者の作品に触れたのは、『文車日記』という古典についてのエッセイ集で、

古典に関する興味を大変に掻き立てられた記憶があります。

 

おすすめ

作家の個性が反映されて、

おもしろおかしいもの、強い女性の話、恋の話が多めです。

その中から、私のおすすめを挙げていくと、

 

笑えるものは、

堅物役人の意外な過去『くぐつ目代』

戦わずして勝つ機転『すももの宴』

 

強い女性の話は、

可憐な姫君かと思いきや『大力の女』

曲がったことが大嫌い『船をかつぐ女』

 

恋の話は、

幸せな結末『雨宿りて逢った少女』

身分違いの悲恋『さらわれた姫君』

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ピックアップ

中でも、特にお気に入りの『猫怖じの男』を今回はご紹介しましょう。

***

あるところに、猫を非常に怖れる男がおりました。

あまりに怖がるので、前世はねずみだったのかと噂される始末です。

しかし、地方の大地主でもあるこの男は、

なかなかにずる賢く、長いこと租税も払わずに済ましていました。

なんとか税を払わせたいお役人は一計を案じ、

男を招いた部屋に数匹の猫を放ちます。

忽ち男は降参、その場で書類を書いて、やっと税金を払います。

しかし、よほど悔しかったのか、あとであちこち言いふらして回るのですが、

猫に脅されたと聞いても人は笑うばかり。

悔し紛れに、お役人に苦手なものを尋ねてやると、

お役人は笑いながら「美女」と答えたのでした。

***

うちに一匹凶暴な猫がいるので(笑)、

この子だったら税の取り立てもできるかもしれないと思いますが、

普通はのんびりおとなしくて始終ゴロゴロしてるような生き物ですし、

「猫に税金取り立てられた」と聞かされたって吹き出すでしょう。

しかも、この猫怖じの男、

決して小心者ではなく、なかなか大した器なので、

余計におかしくなってしまいます。

最後のオチは落語の『まんじゅう怖い』みたいなやつですね。

 

感想とまとめ

短編ばかりで読みやすくなっていますが、

血の通った人間のしでかすことですので、

時には呆気にとられるようなことだったり、眉を顰めるようなことだったりもします。

そして、作家自身も、そこに含みを持たせずに、

あくまで一つの筋立てある話として描いています。

それがいい。

誰かが意味をあてがった教訓話のようなのはどうにも好きじゃありません。

ひねくりまわして歪にするより物事のそのままを捉えたいと思うのです。

明日はペーター / ル・カイン『キューピッドとプシケー』の予定です。

それではまた。

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