酒井駒子『金曜日の砂糖ちゃん』

 

皆さま、こんにちは。グレコです。

今日は酒井駒子著『金曜日の砂糖ちゃん』について。

 

この作品について

三つの短編を収めた絵本です。

一本目に収録されている表題作は、金曜日の砂糖ちゃんと呼ばれる女の子の

お昼寝の時間、その寝顔を見つめながら“お庭の友だち”が囁きます。

二本目は、繊細な女の子が“ひとりのじかん”を大人に奪われる瞬間を集め、

少年が帰り道の道草でオルガンを見つけるお話。

三本目は、両親の寝静まった夜、どこかへ行ってしまおうとする女の子が描かれています。

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その絵について

この作家の絵柄は、黒を基調とした色遣いが特徴的で、

それが可愛らしい子供たちの絵を浮き上がらせ、

ハッとするほど印象的です。

黒という色のせいか、

のどかな情景のはずなのに何か胸騒ぎを覚えるような、

謎めいた美しさがあります。

 

その心を読み解けば

この絵本に収録されているお話は、

単純な子供らしさとは無縁で、特に二本目は心配になるくらい神経質

絵柄ともども、非常に芸術性の高い作品だと思います。

それでも、この本が大人向けなのかと問われれば、

否と答えることになるでしょう。

 

幼い子供たちの想像力は豊かなもので、

黒に塗り潰されたように見える、その向こう側の色彩を、

きっと見出してくれるのではないでしょうか。

明日はボーモン夫人『美女と野獣』の予定です。

それではまた。

 

15.8.22. 一部訂正

『金曜日の砂糖ちゃん』の二本目に収録されているとした内容が

間違っておりました。

正しくは少年が主人公の『草のオルガン』で、

ご紹介したのは『BとIとRとD』の内容でした。

お詫びして訂正いたします。

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