老婦人マリアの華麗な生き様(貧乏でも)。森茉莉『貧乏サヴァラン』

 

皆さま、こんにちは。グレコです。

今日は森茉莉著『貧乏サヴァラン』について。

昨日の予告では『贅沢貧乏』としていましたが、

お詫びして訂正いたします。

 

作家について

森茉莉は文豪、森鴎外の娘です。

父の鴎外に大変可愛がられ、

何をやっても怒られなかったようです。

軍医をしながら作家としても成功した鴎外の暮らしぶりは豊かで、

娘の茉莉は苦労を知らないお嬢さまとして育ちます。

 

鴎外が四十を過ぎてからの子供だった茉莉は、

19歳で父を失い、さらには二十代のうちに二度の離婚を経験、

俄かに暮らし向きが変ってゆきます。

やがて鴎外の小説の印税が切れ、働く必要に迫られ、

細々と文筆活動を始めるようになりました。

そして、五十を過ぎてから、

鴎外の回想録『父の帽子』で作家として注目されます。

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作品について

『貧乏サヴァラン』は、そんな彼女が自分の食へのこだわりを綴ったエッセイ。

幼い時分に贅沢を味わった茉莉は、高い美意識を持ち、

また美食家を自負してもいました。

自分のことをブリア・サヴァランに喩えているくらいです。

ブリア・サヴァランは18世紀のフランスの政治家で、

『美味礼賛』という本を著した美食家として知られています。

 

さて、零落しても未だ贅沢を好み、食への想いも一際強い茉莉。

殆どの家事は苦手なのに料理だけは例外で、

楽ではない日々の暮らしの中、自分の舌を満足させようと奮闘します。

飛び切りのアイスティーを淹れるためにダイヤ氷を買いに走り、

そのダイヤ氷を詰めた洋杯に熱々の紅茶を注ぐ。

紅茶はリプトン。

ビスケットへのこだわりも譲れない。

トマトなら薔薇色を帯びたもの。

オムレットを作らせたらフランスのシェフにだってなれる。

幼き日の食卓。若き日にかつての夫と訪れた巴里の味。

 

現実と空想の交錯で、その日常は彩られてゆきます。

 

まとめと感想

貧しくて、楽しみもなく、ろくなものも食べない生活。

それをよしとせず、自らの美学を見つめ続ける茉莉の想いが、

ユーモアと、時に歯に衣着せぬ痛烈さで、

『貧乏サヴァラン』には綴られています。

 

せっかくの人生。面白おかしく生きたいものです。

そんなふうに思わせてくれる一冊。

 

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