読書近況。『檸檬』『赤死病の仮面』など読みました

皆さま、お久しぶりです。小暮です。気づけばとっくに2018年。 この頃まとまった読書の時間が取れていませんが、ちびちび読んでいます。 今回は読書の近況を書いていこうかと思います。 スポンサードリンク // 内田百閒「旅順入場式」 半分くらい読んだとこ…

ヴァンパイア物の最高峰。やはり名作だったブラム・ストーカー『吸血鬼ドラキュラ』

皆さま、こんにちは。小暮です。6月です。 今回はブラム・ストーカー著『吸血鬼ドラキュラ』を。19世紀イギリス怪奇小説をご紹介したときにもちらりと触れていましたが、ようやくの読了となりました。 スポンサードリンク // 名作『吸血鬼ドラキュラ』 物心…

再考『人間失格』。太宰治の苦悩に思いを馳せ……

皆さま、こんにちは。小暮です。5月です。 今回は改めて太宰治の『人間失格』を取り上げたいと思います。 スポンサードリンク // 太宰治『人間失格』をもう一度 一度記事を書いたものの、手応えがなくもやもやしていた「人間失格」。あえなく再考の運びとな…

しみじみ読める人情派時代小説『深川澪通り木戸番小屋』『おせん』

皆さま、こんにちは。小暮です。 今回は北原亞以子著『深川澪通り木戸番小屋』と池波正太郎著『おせん』を。 スポンサードリンク // 北原亞以子『深川澪通り木戸番小屋』 20年ほど前のNHKドラマ「とおりゃんせ〜深川人情澪通り」の原作です。ドラマでは神田…

ほろ酔いの幻想大学生活綺譚。森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』

皆さま、こんにちは。小暮です。 今回は森見登美彦著『夜は短し歩けよ乙女』を。 スポンサードリンク // 笑って泣ける『夜は短し歩けよ乙女』 表紙イラストのイメージが強く、読みながらずっとあの絵を思い浮かべてしまいます。主役の黒髪の乙女はとても可愛…

少納言の忘れえぬ人?清少納言『枕草子』~橘則光篇~

皆さま、こんにちは。小暮です。4月です。 今回は清少納言「枕草子」より、橘則光に焦点を当ててみたいと思います。 清少納言の最初の夫・橘則光 橘則光は清少納言の最初の夫です。一子をもうけますが離婚。その後、少納言が宮仕えを始め、宮中で再会してか…

「耳なし芳一」「雪女」も収録。ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)『怪談』

皆さま、こんにちは。小暮です。 今回はラフカディオ・ハーン(小泉八雲)『怪談』を。 小泉八雲の代表作『怪談』 小泉八雲は日本文化の研究者。父親はアイルランド人、母親はギリシャ人。幼少期をアイルランドの首都ダブリンで過ごしたといいます。来日後、…

短く読みやすい。土方・沖田の人物像も魅力の司馬遼太郎『新撰組血風録』

皆さま、こんにちは。小暮です。3月です。 今回は司馬遼太郎著『新撰組血風録』についてです。 司馬遼太郎と『新撰組血風録』 歴史小説家として名高い司馬遼太郎。「竜馬がゆく」「坂の上の雲」などがよく知られているかと思います。新撰組を題材にした長編…

狂気?ジョーク?とてつもなく変な本ウラジーミル・ナボコフ『青白い炎』

皆さま、こんにちは。小暮です。 今回はウラジーミル・ナボコフ著「青白い炎」についてです。 技巧派といわれる作家ナボコフ ナボコフは20世紀前半に活躍したロシア出身の作家。代表作はかの有名な「ロリータ」です。残っている写真を見るといかにも気難しそ…

可笑しく、少し切なく、貧乏を唄う『林芙美子詩集』

皆さま、こんにちは。小暮です。ブログのデザインを変更しました。 今回は「林芙美子詩集」を取り上げたいと思います。 『放浪記』で知られる林芙美子 林芙美子といえば、長年故森光子さんが主演を務めた舞台の原作「放浪記」の作者として知られています(「…

美しくも問題作だった、森鴎外『舞姫』

皆さま、こんにちは。小暮です。2月です。 今回は森鴎外著「舞姫」についてです。角川文庫の古い本を読みました。表題作ほか「うたかたの記」「文づかい」読了。翻訳の「ふた夜」は割愛。「普請中」収録されず。文語体で読みにくさ抜群でした。細かい文意を…

珠玉の古典的ホラー小説集。平井呈一訳『怪奇小説傑作選1』

皆さま、こんにちは。小暮です。 今回は、平井呈一訳『怪奇小説傑作選1』についてです。アンソロジー作品ですので、1作ずつ書いていきたいと思います。 ブルワー・リットン『幽霊屋敷』 幽霊屋敷をめぐる怪奇譚。ロンドンに実在する幽霊屋敷がモデルとなって…

打てば響く、中宮定子と清少納言の面白いやりとり。角川ソフィア文庫『枕草子・上』より

皆さま、こんにちは。小暮です。 今回は「枕草子」を。私は角川ソフィア文庫の「枕草子 上下」を愛読しているのですが、その上巻に焦点を当ててみたいと思います。中宮定子と清少納言の面白エピソードのほか、少納言のユーモアや美意識が感じられる段もご紹…

強いヒロインとゴシック色が印象的。シャーロット・ブロンテ『ジェイン・エア』

皆さま、こんにちは。小暮です。2017年です。明けてからだいぶ経ってしまいましたが、今年もどうぞよろしくお願いいたします。 新年最初はシャーロット・ブロンテ著『ジェイン・エア』です。去年の年始は妹エミリーの著作『嵐が丘』を読んでいたのですが、今…

ポー唯一の長編、エドガー・アラン・ポー『ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語』ほか

皆様、こんにちは。小暮です。 今回は創元推理文庫より刊行されているエドガー・アラン・ポー著『ポオ小説全集2』について。久々のポーです。例によってネタバレあります。 「ナンタケット島出身のアーサー・ゴードン・ピムの物語」 ポー唯一の長編作品。海…

たまにはメジャーに。『火車』『白夜行』『魍魎の匣』

皆様、こんにちは。小暮です。12月です。 今回はメジャーな3冊について取り上げたいと思います。ミステリー作品なので一応気を遣ってみましたが、ネタバレあるかもしれません。 宮部みゆき『火車』 多重債務者の悲劇を描いた社会派ミステリー。サラ金やクレ…

グロテスクと純愛と。異様な魅力の江戸川乱歩『孤島の鬼』

皆様、こんにちは。小暮です。 今回は江戸川乱歩著『孤島の鬼』についてお送りします。多少ネタバレしていますので、ご注意ください。 乱歩作品のイメージ・・・ 長年、手を出せずにいた乱歩作品。あらすじだけ知っているものも幾つかありますが、テーマだけ…

歴史物としてニュートラルに読める遠藤周作『王妃マリー・アントワネット』

皆様、こんにちは。小暮です。 今回は、遠藤周作著『王妃マリー・アントワネット』についてです。 作品について 本作は18世紀フランスで、ブルボン王朝最後の王ルイ16世妃マリー・アントワネットに焦点を当てたものです。日本でもおなじみの彼女ですが、同じ…

「寛仁の君」と呼ばれた若き君子。清少納言『枕草子』〜一条天皇篇〜

皆様、こんにちは。小暮です。11月です。 今回は「枕草子」より、一条天皇・懐仁について取り上げたいと思います。 一条天皇について 第66代天皇である一条帝は、わずか7歳で即位しました。枕草子に出てくるのは主に10代後半の姿です。父は円融天皇、母は藤…

実は人間失格ではないという話なのかも。太宰治『人間失格』

皆さま、こんにちは。小暮です。10月です。9月はついに1回も更新できませんでしたが、今月はいくつか更新したいと思っています。 今回は太宰治『人間失格』についてです。 恥の多い生涯を送って来ました。 この一言が有名な『人間失格』。太宰は小説の書き出…

夏の終わりに・・・少年の星と少女の花。宮沢賢治『銀河鉄道の夜』ほか

皆さま、こんにちは。小暮です。 今日は宮沢賢治著『銀河鉄道の夜』……など、についてです。 宮沢賢治の代表作である『銀河鉄道の夜』。非常にファンも多い作品です。 貧しい少年ジョバンニと、巡り合わせでなんとなく距離を置くことになってしまった友人カム…

文化人は博識、というより雑識?寺山修司『幻想図書館』

皆さま、こんにちは。小暮です。 今日は寺山修司著『幻想図書館』について。 寺山修司という人が「寺山修司の本棚」なんていうブログをやっていたとしたら 「髪に関する面白大全。ブルック・アダムス『髪』」 「眠られぬ夜の拷問博物誌。ローラン・ヴィルネ…

大正浪漫・少女小説の決定版。吉屋信子『花物語』

皆さま、こんにちは。小暮です。 今日は吉屋信子著『花物語』についてお届けします。 女学生のバイブル『花物語』 吉屋信子は大正時代に活躍した少女小説家として知られ、10代から書き始めた短編小説集『花物語』は当時の大ベストセラーとなりました。 少女…

言葉の限界という境地。ヘルマン・ヘッセ『シッダールタ』

皆さま、こんにちは。小暮です。 今日はヘルマン・ヘッセ著『シッダールタ』について。読み始めてから幾星霜……ようやく読み終えました。 ヘッセの宗教的体験を描いたという『シッダールタ』 著者のヘルマン・ヘッセは20世紀はじめに活躍したドイツの文豪で、…

仕組まれた運命に戦慄。華やかな和のホラファンタジー小野不由美『東亰異聞』

皆さま、こんにちは。小暮です。 今日は小野不由美著『東亰異聞』についてです。 著名な作品が多い小野不由美さん 小野不由美さんといえば、2013年に山本周五郎賞を受賞した『残穢』や、アニメ化もされた『十二国記』などの作品が知られています。『残穢』は…

天使のような幼子と幽霊。ヘンリー・ジェイムズ『ねじの回転』|英米怪奇小説

皆さま、こんにちは。小暮です。8月です。 今日はヘンリー・ジェイムズ『ねじの回転』についてです。以前、読みたい本として挙げていた一冊。期待に応える内容でした。 アメリカに生まれイギリスで活躍した作家 ヘンリー・ジェイムズは19~20世紀のアメリカ…

遅ればせながらタイトルの重要性に気づく

皆さま、こんにちは。小暮です。 今日は珍しくコラム記事になります。 7月は「19世紀イギリス怪奇小説」をテーマに更新しておりましたが、前回で一応の区切りとしたいと思います。まだご紹介したいものもあるのですが、今後は他ジャンルのものと織り交ぜて取…

世にも美しいヴァンパイアの物語。シェリダン・レ・ファニュ『吸血鬼カーミラ』|19世紀イギリス怪奇小説

皆さま、こんにちは。小暮です。 今日はシェリダン・レ・ファニュ『吸血鬼カーミラ』についてです。 レ・ファニュはアイルランド出身ですが、19世紀怪奇小説の主たる担い手であり、イギリス文学界に大きな影響を与えていることから、今回ご紹介することにし…

マニアックだけどおすすめ。ブラックウッド『秘書綺譚』&マッケン『白魔』|19世紀イギリス怪奇小説

皆さま、こんにちは。小暮です。 今日はブラックウッド『秘書綺譚』&マッケン『白魔』について書いてみたいと思います。 アルジャーノン・ブラックウッド『秘書綺譚』 サイレンス博士シリーズなどで知られるイギリスの怪奇作家ブラックウッドの著作。ショー…

すれ違う父子のようだった、メアリー・シェリー『フランケンシュタイン』|19世紀イギリス怪奇小説

皆さま、こんにちは。小暮です。 今日はメアリー・シェリー『フランケンシュタイン』についてです。 名もなき怪物の物語 超有名どころ。知らぬ人はない、といっていいと思います。天才科学者によって生み出された怪物の物語であるのは周知の事実ですが、フラ…